【3日目】ピントが合わないのは、あなたのせいだけじゃない

スポーツ写真を撮っていて、

「いい瞬間だったのに、ピントが合っていなかった」
「連写したのに、あとで見たらボヤッとしていた」
「選手ではなく、背景や別の人にピントが合っていた」

そんな経験、ありませんか?

スポーツ写真で一番多い失敗のひとつが、
この「ピントが合わない」という悩みです。

せっかく良い表情だったのに。
せっかく良いプレーだったのに。

肝心の選手にピントが合っていないと、
写真としてはちょっと残念な印象になってしまいます。

そして、こういう失敗が続くと、

「やっぱり自分は写真が下手なのかな」
「スポーツ写真は自分には難しいのかな」

そう感じてしまう方も多いと思います。

でも、ここで一度考えてみてほしいんです。

そのピントの失敗、
本当に“自分が下手だから”
だけで片付けていいのでしょうか。

スポーツ撮影のピント合わせは、そもそも難しい

まず知っておいてほしいのは、
スポーツ撮影のピント合わせは、
写真の中でもかなり難しい部類
に入るということです。

なぜなら、被写体である選手が動き続けるからです。

走る。
投げる。
打つ。
蹴る。
跳ぶ。
相手選手と重なる。
手前に別の選手が入ってくる。

スポーツの現場では、ピントを合わせたい選手が、撮影に合わせて
じっと止まってくれることはほとんどありません。

さらに、撮りたい選手の周りには、
他の選手、審判、観客、フェンス、ベンチ、背景など、
カメラが迷いやすい要素もたくさんあります。

つまり、スポーツ写真でピントが合わないのは、
単純に「自分が下手だから」とは限りません。

そもそも、難しい条件で撮っているんです。

だからこそ大事なのは、
闇雲に練習することではありません。

もちろん練習は必要です。

でも、その前にまず、
カメラ側の設定をスポーツ撮影に合う状態にしてあげることが大切です。

スポーツ向きの設定になっていないまま、
「そのうち上手くなるはず」と撮り続けても、
なかなか失敗の原因が見えてきません。

まずは、カメラが動く選手を追いやすい状態に整える。

ここが、スポーツ写真のピント合わせの第一歩です。

まずは、オートフォーカスを正しく使う

ピント合わせには、大きく分けて2つの方法があります。

ひとつは、自分の手でピントを合わせるマニュアルフォーカス
もうひとつは、カメラが自動でピントを合わせてくれるオートフォーカスです。

スポーツ撮影を始めたばかりの方は、
まずはオートフォーカスを使えるようになりましょう。

動き続ける選手に対して、
自分の手でピントリングを回しながら合わせ続けるのは、かなり難しいです。

もちろん、プロの現場や特殊な状況では、
マニュアルフォーカスが使われることもあります。

ただ、初心者の方がスポーツ写真を撮るなら、
まずはカメラのオートフォーカスの力をしっかり使うことが大切です。

カメラやレンズに「AF」「MF」という設定がある場合は、
AFがオートフォーカス、
MFがマニュアルフォーカスです。

まずは、カメラ側・レンズ側の両方がAFになっているか確認してみてください。

レンズ側にAF/MFのスイッチがある場合、
カメラ本体がAFになっていても、
レンズ側がMFになっているとオートフォーカスが動かないことがあります。

「ピントが合わない!」と思ったときに、
実はレンズ側のスイッチがMFになっていただけ、ということもあります。

まずはここを確認しておきましょう。

スポーツ撮影では「合わせ続けるAF」が大事

オートフォーカスを使うときに、
もうひとつ大切な設定があります。

それが、
動く被写体にピントを合わせ続けるための設定です。

多くのカメラには、
ピントを1回だけ合わせる設定と、
ピントを合わせ続ける設定があります。

止まっているものを撮る場合は、
1回ピントを合わせれば十分なこともあります。

でも、スポーツの選手は動き続けます。

一度ピントを合わせても、
次の瞬間には選手の位置が変わっています。

だからスポーツ撮影では、
シャッターボタンを半押ししている間や、
AFを起動している間、
カメラがピントを合わせ続けてくれる設定を使います。

この設定は、一般的に
コンティニュアスオートフォーカス、
またはAF-Cと呼ばれることが多いです。

メーカーによって名前が違う場合もあります。

たとえばCanonでは、
AI Servo AFやServo AFと呼ばれることがあります。

SONYやNikonではAF-Cと表示されることが多いです。

メーカーや機種によって表記が異なるので、
自分のカメラではどの名前になっているか、
説明書やメニュー画面で確認してみてください。

スポーツ撮影では、
動く選手に対してピントを合わせ続ける設定を使う。

まずはここを覚えておきましょう。

AF-Cにするだけで完璧になるわけではない

ここまで聞くと、

「じゃあAF-Cにすれば、ピントの悩みは解決するの?」

と思うかもしれません。

答えは、残念ながらそれだけではありません。

AF-Cは、スポーツ撮影でとても大切な基本設定です。

ただし、AF-Cにしただけで、
すべての写真にピントが合うわけではありません。

なぜなら、カメラは
「画面のどこにピントを合わせるか」
も判断しなければいけないからです。

選手が1人だけならまだ分かりやすいです。

でも実際のスポーツの現場では、
画面の中に複数の選手が入ることがよくあります。

手前に別の選手が入る。
奥にも選手がいる。
背景にフェンスや観客がある。
自分が撮りたい選手の前を、別の人が横切る。

こういう状況では、
カメラがどこにピントを合わせればいいのか迷うことがあります。

そこで必要になるのが、
フォーカスエリアの考え方です。

フォーカスエリアとは、
画面のどの範囲でピントを合わせるかを決める設定です。

スポーツ撮影では、
AF-Cでピントを合わせ続けることに加えて、
フォーカスエリアをどう使うかも大切になります。

ただ、ここから先は少し細かい話になります。

ゾーン。
スポット。
ワイド。
トラッキング。

こういった設定を理解して使えるようになると、
狙った選手にピントを合わせられる可能性は上がっていきます。

でも、最初から全部を覚える必要はありません。

今日のところは、
スポーツ写真でピントが合わない原因は、
単純に「自分が下手だから」だけではない。

そして、まずはカメラ側の設定を
スポーツ撮影に合う状態に整える必要がある。

このことを知ってもらえれば十分です。

今日から確認してほしいこと

次に撮影する前に、
まずは自分のカメラの設定を確認してみてください。

1つ目。
カメラとレンズは、オートフォーカスになっていますか?

2つ目。
フォーカスモードは、動く被写体にピントを合わせ続ける設定になっていますか?

AF-C。
コンティニュアスAF。
AI Servo AF。
Servo AF。

名前はメーカーによって違いますが、
動く被写体にピントを合わせ続ける設定を探してみてください。

この2つを確認するだけでも、
スポーツ撮影のピント合わせに対する考え方は変わります。

ピントが合わないとき、
ただ「自分が下手だ」と落ち込むのではなく、

「設定はスポーツ向きになっていたかな?」
「カメラは動く選手を追える状態になっていたかな?」

と確認できるようになります。

それだけでも、大きな一歩です。

まとめ

今回は、フォーカスの入り口として、
オートフォーカスとAF-Cの考え方をお伝えしました。

ただ、実際のスポーツ撮影では、
ここからさらに大切なことがあります。

フォーカスエリアをどう選ぶのか。
ゾーンとスポットをどう使い分けるのか。
選手が重なる場面で、どう狙った選手にピントを合わせるのか。
実際にどんな練習をすれば、ピント合わせが上達するのか。

こういった内容を理解していくと、
スポーツ写真のピント合わせは少しずつ安定していきます。

今後の講座では、
こうしたフォーカスの考え方や練習方法も、
初心者の方にわかりやすく解説していきます。

まず今日は、
「ピントが合わないのは、自分のせいだけじゃない」
「スポーツ撮影には、スポーツ向きのAF設定が必要なんだ」
と知ってもらえれば十分。

次の撮影では、ぜひ
オートフォーカスとAF-Cの設定を確認してみてください。

闇雲に撮るのではなく、
カメラをスポーツ撮影に合う状態に整える。

そこから、ピント合わせの第一歩が始まります。

筆者:木村亮介